アタック奏法?口笛のアタックについて

「アタック奏法」という言葉は口笛奏法の名前として正しいだろうか?

口笛における奏法として「アタック奏法」「ノンアタック奏法」と言うのを提唱している記事を見かけたが、私は「???!」となった。

では、そもそもアタックとはなんだろう?

ネットで調べてみるとこうだ↓

音の出だし、立ち上がり。

うむうむ。まあ、そうだよな。

念のため和英辞典で英語のattackを調べてみた↓

4不可算名詞 【音楽】 (器楽・声楽で最初の)発音[発声](法), アタック

うむうむ。やはり、そうだよな。

音楽におけるアタックというのは出だし(立ち上がり)のことを指す。

私の認識は間違っていないようだ。安心した。

アタックの定義について確認できたところで、今回の私の「アタック奏法」への違和感を説明したいと思う。

シンプルに言うと、「アタック奏法」と言ってしまうと口笛の音はほぼ全て「アタック奏法」になってしまわないか?ということである。

口笛に限らずほぼ全ての楽音には音の出だしが存在する。

吹奏楽の指導でよく言われているこの言葉をご存知だろうか?

アタック コア リリース の3セットだ。

アタック:音の出だしの部分

コア:指定された音価(音の長さ)を保つ部分

リリース:音処理の部分

ポルタメントやウォーブリングなどのように音から音へと遷移する場合を除き、全ての音にはこの3セットがある。

そう、つまりポルタメントやウォーブリングでない楽音すべてにはアタックが存在するのだ。

※ちなみに無音状態から弱くひっそりと口笛の音を出しことはアタックが弱いということが多い。それが波形上ハッキリとした山場のないものであったとしても、楽音上もしくは聴覚特性上の出だしは存在する。

なので、まず「ノンアタック奏法」という言葉は不適切であるように感じる。

楽音にアタックがないのはポルタメントやウォーブリングなどで音がつながっている場合のみだ。「ノンアタック奏法(アタックがない奏法)」と言うのであればそれを指すべきであろう。

さらに「アタック奏法」という言葉も不思議だ。いうなら「ブレスアタック」もしくは「エアーアタック」と言うのが適切ではないか。(※当サイトでは、複数人の口笛関係者と議論し、「アタックという仕事をするのは息の流れである」という認識のもと、ブレスアタックという言葉を使っている。)

アタックは音の出だしなのだから、息のみで発音する場合も、喉(スロートロック)や舌(タンギング)で発音する場合もすべて「アタック奏法」に含まれてしまうのではないか。

以上!

まとめるとこうだ↓

・アタックという言葉の意味から考えて、ノンアタック(アタックがない)という意味の言葉は間違っているのではないか。

・アタックは「ある・ない」ではなく「強い・弱い」で表した方がわかりやすいし正確である。

・アタック(音の出だし)は様々な発音(タンギングなど)において存在するため、奏法として定義できない。

・息の流れのみで行う音だしは「ブレスアタック」というべきだ。

以上の理由により、私は口笛の音だしについて「アタック奏法・ノンアタック奏法」と定義に疑問を感じた。

私みたいな口笛オタクでないかぎりそんなに気にしないだろうが、

私はこれからも「ブレスアタック」という言葉を推奨していくつもりだ。

ブレスアタック奏法

口笛における基本的な発音方法「ブレスアタック」について解説します。

ブレスアタック奏法とは

ブレスアタックとは息の流れのみで音を発生させる(音と音を区切る)奏法のことです。口笛において最も重要な演奏スキルです。

ちなみにアタックとは、音の出だし(立ち上がり)のことをさします。

補足:口笛のアタックについて

ブレスアタックのやり方

ブレスアタックは舌や唇などの子音を加えずに息のみで音を区切ります。動画の音を参考に、「ひゅ、ひゅ、ひゅ、ひゅ」と音を区切って見ましょう。出だしの音高がブレないように気をつけましょう! 「ただ単に息のみで口笛の音を鳴らす」これがブレスアタックです。シンプルで分かりやすいでしょう?だからといって馬鹿にしてはいけませんよ。これを極めるとこんな演奏もできるようになります。

私が尊敬する口笛奏者くちぶえ村の村長さんの演奏です。

何事も基本が大事!口笛だってそう。基礎技術であるブレスアタックが正確でないと、上手な演奏はできません。

口笛の基礎編で「口笛!三・三・七拍子」を練習しましたが、今一度「口笛!三・三・七拍子」でブレスアタックの練習をして見ましょう。前回は瞬時に音を出すことが目標でしたが、今回の目標は「ねらった音を正確に出す」です。ド(C)のを出したいときは、きっちり「ド(C)」の音を出す。 「口笛!三・三・七拍子」で「ド・ド・ド、ド・ド・ド、ド・ド・ド・ド・ド・ド・ド・」と短めに区切ってみましょう!これができたら「レ・レ・レ、レ・レ・レ、レ・レ・レ・レ・レ・レ・レ・」のように、音高を変えて練習しましょう!

スロートロック

口笛における発音方法「スロートロック」について解説します。

スロートロックとは

スロートロックとは、声門を閉じ開きすることによって,息の流れを開放し(もしくはせき止め)音を発生させる(区切る)奏法のことです。音には声門破裂音(声門閉鎖音)らしきクリック音(のどの音)が加わります。 ブレスアタックと比べて音の立ち上がりがより明確なのが特徴です。

スロートロックのやり方

スロートロックは咳払いをするときのような声帯の動きを用いて音を区切ります。動画の音を参考に音を区切って見ましょう。出だしの音高がブレないように気をつけましょう! 簡単に言うと「のどで音を区切る(発する)」これがスロートロックです。

私が尊敬する口笛奏者くちぶえ村の村長さんも、スロートロックをよく使います。村長さん本人は、曲想にあわせてブレスアタックとスロートロックを使い分けているらしいです。 より強い明確な音の出だしを表現したい場合にスロートロックを用いると非常に効果的な演奏ができます。

では、今回も「口笛!三・三・七拍子」でスロートロックの練習してみましょう!

スロートロックのデメリット

スロートロックには音の出だしを明確にできるメリットがありますが、デメリットも存在します。それは、クリック音(のどの音)です。スロートロックを行う際に発生する「うっうっうっ」のようなクリック音(のどの音)が雑音として聞こえ音楽表現を邪魔してしまうというのです。 口笛愛好家の方々はこれを解消するために、マイクの持ち方を工夫し、クリック音(のどの音)が極力少なくなるようにしています。マイクを使わない演奏の場合、それが気になるようであればブレスアタックのみで演奏するしか解消策はありません。しかし、相手はあまり気にしていないという場合がほとんどですので、そこまで気を使わなくてもいい気がします。(個人的な意見)

「のどタンギング」という用語表現について

口笛初心者の方に多いのですが、スロートロックのことを「のどタンギング」と言う方がたくさんいます。ですが、この用語の使い方は間違いです。 なぜなら、タンギング(tonguing)とは舌(tongue)で音を区切ることだからです。ですので、「のどタンギング」という用語表現はしないようにしましょう。

ポルタメント

口笛におけるポルタメントの説明します。講師は、くちぶえ君が担当します。

ポルタメントとは

ポルタメントとは、ある音から別の音に移る際に,滑らかに音高を変えながら移る演奏技法です。口笛には音高を自由に変化させられる特性があり、口笛演奏中によく用いられる奏法です。

ポルタメントのやり方

ポルタメントのやり方はシンプルです。「口笛の基礎|音高を変える」でやったように、舌の位置を滑らかに移動させながら音高を変化させます。 渡りをつけるように、移行する到達音をイメージしながら吹きましょう。目標の音に到達できないと、逆に下手な演奏に聴こえてしまいます。また、音の移行中に音が途切れるとポルタメントではなくなってしまういます。気をつけましょう。

ポルタメントの多用について

口笛では音高を自由に変えることができるため、ついついポルタメントを多用しがちです。しかし、やりすぎるとリズムや出だしの音高がはっきりせず、メロディラインがぼやけてしまいます。 また、聴き手によってはしゃくれ過ぎて気持ち悪く聴こえてしまう場合もあります。ポルタメントは意図的・効果的に用いるのがよいでしょう。

口笛の吸奏と吹吸奏法(インアウト)

息を吸いながら口笛の音を出す吸奏と、それを利用した吹吸奏法(インアウト)について紹介します。講師はくちぶえ君です。

吸奏とは

吸奏(きゅうそう)とは、通常とは逆に、息を吸いながら音を出す口笛の基本的な奏法です。これに対し、息を出しながら音を出す通常の吹き方を「吹奏」と言います。

吸奏のやり方

吸って音を出す場合でも、基本的なことは同じです。口笛の基礎でやった①舌を固定する②ゆっくり「ひゆう」でポイントを探るを意識して練習してください。

吸奏のメリット・デメリット

吸奏のメリット

吸奏のメリットは息継ぎをしながら音が出せることです。曲によっては長いパッセージを息継ぎなしで演奏する必要があります。 また、レガートのかかったフレーズでは、息継ぎをすることでブツぎれになり、曲が台無しになってしまう場合もあります。仕方ないことですが、通常の吹奏ではどうしても息継ぎしなければなりません。こうした「吹奏の欠点」を吸奏で補うことができます。

吸奏のデメリット

吸奏のデメリットは吹奏に比べて習熟度が低い点です。私たち口笛愛好家はどうしても吹奏をメインに練習しがちなため、吹奏に比べて吸奏が下手になってしまいます。 すると、音にムラが出て、吸奏しているのがバレバレな不自然な演奏になってしまいます。

吹奏を基本に、吸奏のデメリットを感じさせない演奏を

まずは吸奏の達人をご紹介します。第6回口笛音楽コンクールの会場にてインタビューさせていただいた時の映像です。

吹いても吸ってもブレない・変わらないというのは鍛錬を重ねた人にしかできない、基礎かつ高度な口笛のテクニックなのです。

映像のような達人を除き、通常、口笛愛好家たちは吹奏をメインにしています。吸奏は最小限に抑え、どうしても必要なときにのみ吸奏で演奏します。吸奏するのにオススメなところは、単発の低音部分です。 単発なので音のブレが目立ちにくく、低音で比較的たっぷりと息を吸うことができます。

吸気タンギングという用語表現ついて

吸奏のことを吸気タンギングと表現する方をたまに見かけますが、間違った言葉なので「吸奏」という言葉を利用するようにしましょう。まず、タンギング(tonguing)とは「舌(tougue)を使って音を区切ること」です。吸奏には舌は用いないのでタンギングと言う言葉は適しません。 また、「吸気」とは息を吸うことを意味します。「息を吸って口笛の音を出すこと」という意味には適していません。ですので、奏法自体を言い表す場合には「吸奏」と正しく使いましょう!

吹吸奏法(インアウト)とは

吸奏を利用して音を細かく区切る吹吸奏法(インアウト)という奏法があります。文字通り吹奏と吸奏を交互に行うことで、速いパッセージの演奏が可能となります。下の動画を参考にしてください。

 

吹吸奏法(インアウト)のやり方

やり方はシンプルに吹いたり吸ったりして音を出しているだけですが、速く行うにはコツが要ります。暑い日に犬が舌を出して体温調節をしているように、息をすばやく出し入れするのです。お口の中(口腔内)にある少量の空気をすばやく出し入れします。詳しくは下の動画を参考にしてください。

下唇系舌ウォーブリング

下唇系舌ウォーブリングのやり方について説明します。

※下唇系舌ウォーブリングに関する最新版は作成中です。旧動画はyoutubeで公開されています。

下唇系舌ウォーブリングとは

下唇系舌ウォーブリングとは、舌を下唇(下唇の内側)に着け離しすることによって音を変えるウォーブリングのことを指します。息の流れを邪魔しないため、比較的音がクリアだと言われており、 逆行のウォーブリングも可能です。舌を着けると音高が高く変化し、舌を離すと音高が低く変化します。音高の変化は舌の動きと連動しており、リコーダーの音孔(孔)を押さたときのように 音が機械的に切り替わります。

下唇系舌ウォーブリングのやり方

下唇系舌ウォーブリングでは、舌を着けると舌を離すを交互に行います

修得の順序を以下に示します。

  • 1.舌を着けた状態で音が鳴らせる
  • 2.舌を離した状態で音が鳴らせる
  • 3.着けた状態・離した状態を交互に行いながら音が鳴らせる

まずは舌を着けた状態の説明をします。

舌を着けた状態

まず、ティッシュペーパーを1枚用意してください。うすい2枚が一組(1枚)になっているティッシュを2つに分けます。 さらに、そのうちの1つを半分にし、丸めます。下唇系舌ウォーブリングの舌を着けた状態では、舌の下にこのくらいの空間(空気のカタマリ)をつくります。この空間を密閉するように(空気のカタマリを外に逃がさないように)、 舌先は下唇の内側に着け、舌の両側は頬の内側に着けます。これが下唇系舌ウォーブリングの舌を着けた状態です。この状態で音が出せるよう練習してください。

出来上がったティッシュの玉を口の中に入れてみてもかまいませんが、誤飲にはご注意ください。(事故があった場合、当サイトは責任を負いかねます。)

下唇系舌ウォーブリング、舌を着けた状態

舌を離した状態

次に、舌を離した状態について説明します。舌を離した状態は、先ほどの舌を着けた状態から舌先を手前に引くだけです。舌の下にある空間はそのままに舌先(舌の前半分)だけを少し手前に引いて、密閉を解除するイメージです。舌先以外(舌の後半分)の両側は着けたまま、舌先(前半分)だけを手前に引きましょう。 これが下唇系舌ウォーブリングの舌を離した状態です。この状態で音が出せるよう練習してください。この状態は上顎系舌ウォーブリングやタンギング、フラッターなどの修得にも必要です。多くの人はこの状態で躓きます。根気よく練習しましょう!

下唇系舌ウォーブリング、舌が浮いている状態

息づかいを意識し、舌を切り替える

舌の状態の確認ができたら、息づかいについて説明します。 ウォーブリング全体に共通して言えることですが、ウォーブリングをするときは息を出しっぱなしにする必要があります。ウォーブリングとは音を変える奏法です。 音が途切れてはウォーブリングになりません。練習するときは息が途切れないように注意しましょう

息づかいが確認できたら、舌を前後に動かしながら音を出してみましょう。舌を着けた状態と離した状態を交互に行うことで、音がピロピロと切り替わります。下のアニメーションを参考にしてください。

舌を切り替える

できましたか?

できない方は以下の点に気をつけて練習してください。

どうしても上手くいかない場合

  • 1.舌を着けた状態で音が出ていますか?(空間は密閉されていますか?)
  • 2.舌を離した状態で音が出ていますか?
  • 3.音が途切れていませんか?(息は出しっぱなしです。)
  • 4.意識して音高を変えていませんか?(ウォーブリングでは音高が機械的に切り替わります。)
  • 5.あごや唇、舌奥の狭めなど、舌先以外の部分が動いていませんか?(動かすのは舌先だけです)

たくさん試行錯誤してみて、どうしても上手くいかない場合は口笛無料オンラインレッスンをご活用ください。私が直接アドバイスします。