やってはいけない口笛の教え方(間違った口笛の教え方)

ロウソクの火を消すように

ロウソクの火を消すように。間違った口笛の教え方で最も多いのがこのパターンです。「ロウソクの火を消すように口をすぼめてフーフーとやってごらん」この教え方のどこがいけないのでしょうか? まず、「ロウソクの火を・・」のくだりで何が伝えられるのか考えて見ます。おそらく、教えたい側は「唇をすぼめて息を出そう」と伝えたいのでしょう。ですが、「唇をすぼめる」 という様子は外観から一目瞭然です。ではなぜわざわざロウソクの火にたとえているのでしょう?私からすれば、何か(ロウソクの火)に例えることで教えた気になっているとしか思えないのです。 口笛を教える上で重要なのは外からは見えない口腔内の様子(特に舌の位置)を伝えるということ!「ロウソクの火・・・」では口腔内の様子を伝えられません。

「ロウソクの火を消すように」という教え方は更に大きな問題を抱えています。それは、口腔内の「狭め」が形成されないという点です。口笛(一般的なパッカーウィスリング)の音を鳴らす時には2つの「狭め」(「唇の狭め」と「舌と上顎で形成される狭め」)が形成されます。 少し専門的な話になりますが、ロウソクの火を消す時の音は無声両唇摩擦音であり、口腔内の様子である「舌と上顎で形成される狭め」が形成されないのです。これでは口笛を教えるどころか、逆にいつまでたっても口笛が吹けないという 状況を引き起こしかねません。

実は、そういう私も2010年頃は「ロウソクの火を消すように・・」と教えていました。私自身も何も考えず感覚的に教え、教えた気になっていたのです。ですので、現在間違って教えている方を責めているのではありません。 ここ数年で口笛の音楽理論や教授法はだいぶ進歩しています。常に新しい情報を入手し、よりよい指導を心掛けることが大事だと思います。

具体的な数値を指定する

具体的な数値を指定する教え方もよくありません。私がよく耳にするのが、「唇の穴を3ミリにして、舌を下の奥歯の内側に軽く触れさせた状態で 1センチほど上に・・」のような教え方です。教える側としては、自分の口腔内の状況を数値にして正確に伝えているつもりなのでしょう。 しかし、このような具体的な数値を指定する教え方は間違っています。なぜなら、人の体には個人差があるからです。唇の大きさや舌の長さ、歯並びなど人によってそれぞれサイズが異なります。ですので、具体的に数値を指定する教え方をしても、あまり効果がないのです。口笛を教えるときは「探らせる」を大事にしましょう!

口笛の原理をそれらしく語る

みなさんは口笛の発音原理についてどの程度理解していますか?口笛を教ええる際に、口笛の音の鳴る仕組みについて説明できたら説得力があってかっこいいですよね。教わる側も安心できます。 しかし、口笛を教える際に口笛の原理をそれらしく語る人ほど実際は勉強していないことが多いです。なぜなら、口笛の発音原理は完全に解明されていないからです。口笛の発音原理をそれらしく語れば語るほど、自らの無知をさらけ出しているようなものなのです。

私は昔から事物の仕組みについて勉強するのが好きでした。口笛についても、気柱共鳴なのかヘルムホルツ共鳴なのか、音高を決定している要因はなんなのか、口笛は管楽器として扱ってよいのか。たくさん調べ、研究してきました。 しかし、口笛について勉強すればするほど、口笛の仕組みの複雑さにブチ当たり、口笛の奥深さを痛感しました。私たちにとってとても身近な口笛ですが、口笛には、まだまだこれから研究し解明すべきテーマがたくさん残っているのです。

たとえば、口笛を教える際にエセ科学(テキトーな口笛の原理)を語ったとしましょう。すると口笛を学ぶ側に間違った知識を与えてしまい、学ぶ側が口笛に対して感じる「なぜ?」を奪うことになるかもしれません。 そうなると、口笛の研究や口笛の普及・発展を含め、人類の科学の進歩にとってマイナスとなってしまうでしょう(大げさですが)。

私は教える際に口笛の原理を語るなと言いたいわけではありません。 ただ、せっかく口笛を教えるのなら、もっと慎重になって、教える側自身も勉強して、これからの口笛の研究・普及・発展にプラスになるように指導して欲しいのです。自分の信頼度を上げるために口笛の原理を持ち出すようでは二流どころか三流以下です。

広い視野を持って、熱い気持ちで口笛を教えたいなら、ぜひ一流の教え方を目指してください。私も日々勉強しています。ともに一流を目指しましょう!

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